
「好き」という個々人の内部の趣向を表していた概念は、「推し」という個人のアイデンティティを表す自己表現の概念に変わってきました。単に「推したい」「応援をしたい」という気持ちだけにとどまらない、この「推し」という概念を正しく理解することで、さまざまなマーケティング活動に反映し、自然な形でのファン化を促すことができます。
「推し活」の本質とは
「好き」の可視化
本質的に「推し」とは、自分の「好き」を外に向けて可視化する行為です。
つまり、誰かを応援するというよりも、まずは「私はこれが好き」と表明することから始まります。
この点を理解していないと、企業視点で「推してほしいこと」を押しつけてしまいがちです。
たとえば、特定のキャンペーンだけに反応を求めたり、推し方を限定したりすることは、ファンの気持ちとはズレてしまうことも。
大切なのは、「推し活をどうさせるか」ではなく、「推したくなる気持ち」をどう共に楽しめるかという視点です。
ファンの「好き」がどうやって行動に変わっていくのか。そのプロセスを理解し、そっと背中を押すような仕掛けが、これからのマーケティングには求められています。
推し活の形
イベントやコンサートなどに来訪する、グッズを購入する・収集する、SNSに投稿する、ファン同士で交流するなど、さまざまな形で推し活は行われています。
推し活の本質
推し活は、自分の「好き」を表明する自己表現のひとつであると同時に、その根底には「応援したい」「貢献したい」という気持ちが確かに存在しています。
好きな対象に対して何か力になりたい、役に立ちたい——その思いが、購入や投稿、ファン活動といった具体的なアクションに変わっていくのです。
そして、その行動を「可視化」することで、自己表現にもなり、他のファンや推し本人(ブランド)から反応が返ってくることが、さらに嬉しい。
推し活とは、一方通行の応援ではなく、「好き」の気持ちを介したコミュニケーションの形とも言えます。
この感情と行動の循環を理解していれば、企業側がどう「推し活をデザインするか」が見えてきます。
行動の目的による熱量の違い
推し活といっても、全員が同じように熱心なファンというわけではありません。熱量の違いにより、行動の目的や「誰のために可視化するのか」が変わってきます。
ライト層(自分行動の可視化)
主に自己表現の形としての活動です。話題性、思考の一致、楽しみの一環などの目的が主となります。
- コラボ企画のイベントに行く
- 〇〇フェアなどに参加する
- 食べた、行ったイベントのパッケージや現場の写真をSNSに投稿する
ヘビー層(推し対象の可視化)
推しの対象を応援・貢献する為の活動です。推しの活動/商品を広める、紹介する、課金をするなど、言葉通り、対象を推すことが目的になります。
- 全国行脚、聖地巡礼
- グッズ、商品のコンプリート
- 自身の創作物で応援
ファン心理をとらえた「推し活」戦略3つのポイント
推したくなる環境・仕掛け・関係性を整えることが、マーケティングにおけるカギです。
①ファン心理を大切に
好きである、楽しめるなど、推し活はコミュニケーションの形です。一方的なメッセージにならないように気をつけ、ファンの目線で考えるようにしましょう
②誰かに見せたくなる設計
特にライト層は「推し活」のしやすさを意識するとよいと思います。切り取ってSNSなどで発信してもらいやすい、現場感を感じられるなど、特別だけどやり方がわかりやすい行動のガイドをしてあげましょう
③参加・共創できる余地
参加感のある行動で推しの活動の一部になれる、一緒に作り上げられるなど、自身での楽しさを感じつつ、推しの為になること、という設計があるとよいです
まとめ:「推し活」は顧客視点のコミュニケーション
「推し活」は、アイドルなどに限った活動ではありません。一般消費財や食品など生活の中でも起こりえる活動です。なぜこの商品/サービスが好きなのか、といった顧客視点を理解することで、「推し活」という視点での、さまざまな施策を検討することも可能なのです。
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